北九州市障害者差別解消条例が全面的にスタートしました
平成28年4月の障害者差別解消法スタートから2年、北九州市において、この法律の趣旨を踏まえ、障害を理由とする差別の解消に向けて主体的に取り組んでいくための「障害を理由とする差別をなくし誰もが共に生きる北九州市づくりに関する条例」(通称「障害者差別解消条例」)が制定され、平成30年4月1日から全面的にスタートしました。
条例については、当協会も所属する、北九州市障害福祉団体連絡協議会(障団連)が、何度も行政と意見交換を行なったり、条文に反映させるべき内容を盛り込んだ骨子案を提案したりするなど、制定の過程でさまざまなアクションを起こし、積極的に関わってきました。
北九州市は、昭和48年9月、全国に先駆けて身体障害者福祉モデル都市宣言を行なうなど、障害のある人が地域で自分らしく暮らしていけるよう、関係団体と連携しながら実情に応じた取り組みを行なってきた経緯があります。
今回のこの条例は、北九州市の福祉づくりの風土を象徴する、障団連と市との協働による賜物だと言えるのではないでしょうか?
ですが、条例がスタートしたからと言って社会がすぐに変わる訳ではありません。せっかくできた条例も、世の中に浸透して社会が変わる流れになっていかなければ「絵に描いた餅」にしかなりません。
現状、日常生活のさまざまな場面に目を向けると、周囲の誤解や偏見、配慮が不十分な社会の仕組みなどにより、つらく悲しい思いをしている障害のある人がまだまだたくさんいます。
今回の条例では、合理的配慮の提供についての民間事業者への取り扱いは「努力義務」にとどまりました。ですが、社会情勢などの動きを見て「義務化」に見直すということが、条例成立の時の附帯決議として、市議会からの提案により議決されています。
また、市内での差別に関する案件で当事者間での解決が難しい場合に、障害当事者や学識経験者などで構成された第三者機関「北九州市障害者差別解消委員会」が助言やあっせんを行ない、相談から紛争の解決まで一貫して対応するといった、地域で身近に取り組んでいく規定も条文に盛り込まれています。
条例が制定されたここからがスタートです。
条例をきっかけとして、障害のあるなしに関わらず、誰もが地域で共に生きていく社会を実現していくには、市民一人ひとりへの啓発は欠かせません。
当協会も、これから障害のある人たちへの差別をなくしていくために、障害のある人と地域との橋渡し役として、しっかりその役割を果たしていきたいと思います。
条例について詳しくお知りになりたい方は、北九州市のホームパージをご覧ください。