それあるっ!劇場 ~きつねパンダ一家~
北九州市で元気に暮らすきつねパンダ一家が、あるある話のメインキャラクターとして、ある時は障害のある当事者として、またある時は家族として、いろいろな場面に登場する「それあるっ!劇場」
今回は「喉頭摘出者」のお話です。
〈登場人物〉
- 登場人物 きつねパンダ家族イラスト
エピソード26~喉頭摘出者のことを知ってもらうために~
飛行機に搭乗すると、離陸前に機内の安全に関するアナウンスが必ずありますよね。
荷物の収納について、ベルトの締め方、携帯電話の使用制限や緊急時の避難についてなどなど。
中でもいざという時に必要となる、救命胴衣や酸素マスクの使い方は大切なお知らせです。
今回登場のふたごパンダは、国内旅行で観光地へ向かうため、今まさに飛行機の中で離陸前のアナウンスを聞いているところです。
CA(キャビンアテンダント)さんから「万一、システムの故障などにより客室内に十分な酸素が供給できなくなった場合には、酸素マスクが自動的にお客さまの目の前に下りてきます。マスクを強く引いて鼻と口にあて、ゴムひもを頭にかけてください」 というアナウンスが流れます。
ですが、そのアナウンスを聞いたふたごパンダは何やら不安です。
喉頭摘出者である2人の呼吸は、口や鼻ではなく、顎から7~8センチ下に手術で開けた永久気管孔から行います(喉頭摘出者に関する詳細は、「それある!劇場エピソード6」をご覧ください)。なので、口と鼻にあてることを想定した、飛行機に備えている酸素マスクが正しく使えるか不安だったようです。
救急救命時の人工呼吸についても同じで、喉頭摘出者の人工呼吸は永久気管孔から空気を入れないと意味がありません。他にも入浴時に気管孔に水が入ると命取りになるので入浴は半身浴だとか、鼻と口から呼吸ができないので熱いものを冷ませないとか・・・、いろいろと困りごとがあります。
こういった喉頭摘出者の特性や困りごとを知ってもらうために当事者団体は日々PR活動を行っています。また、医療団体(日本頭頚部癌学会作成「喉摘者のためのガイドブック」など)では、喉頭摘出者であることをサービス利用時に事前に相手方に伝えておくなど、喉頭摘出者が自身のために行っておくことが良いことをPRしています。
今回のように飛行機に乗るときは、チケット購入時や搭乗時などの事前に、喉頭摘出者であることを伝えておくことも大切なことですね。
大切なことに今回気づいたふたごパンダたち。CAさんに自分たちのことをしっかり伝えたようですよ。
良い旅になるといいですね。