初めての経験 そして、楽しい失敗。
「初めての大学受験」
生き方のデザイン研究所会員 吉武寿洋(よしたけ としひろ)
3回目の登場、生き方のデザイン研究所です。障害があることで我慢したり、あきらめたりしないで障害があることを強みに感じられる活動を展開中です。前回に続き、研究所の雑談の中から今だから笑える失敗談、ドキドキの初めての体験談をご紹介します。
遠山「こんにちは。吉武さんとは出会って20年以上…長いおつきあいなので、改めて伺うのは不思議な感じ
ですが、よろしくお願いします」
吉武「はい、視覚障害の吉武です。弱視で、片目は全く見えません。ボランティア活動を長くしていますが、
今はまちづくりネットワークに参加しています」
遠山「いつも会議やまちの点検活動などおつかれさまです。なんでも真剣に取り組まれる吉武さん、失敗談
などなさそうですが…」
吉武「そうでもないです。実は、昭和52年の春に、私は初めて大学受験を経験しました。当時はセンター
試験もなく、国立Ⅰ期校、Ⅱ期校と呼ばれていた時代です。弱視の私ですが、一般の学生と受験しま
した。ところが、当日座席を間違えてしまいました。私は肢体不自由児学科を受験したので受験番号は
【肢5】その時私が着席した所は【技5】すなわち技術の5番でした。選択した科目が日本史と化学で
一致していたこともあって、自分の席だと信じ込んでしまいました。試験官の方に指摘されて、驚き
ました。本来の席に着いてからもなかなか平常心に戻れず、教師志望にもかかわらず、英語の試験で
teacherのスペルが思い出せなかったりして、結局不合格でした。
しかし、翌年、別の大学でしたが、受験に合格でき楽しい大学生活を送ることができました。何事にも
あわてず、よく確認することの大切さを知りました」
遠山「いやいや、それは障害がなくても見間違えますよ~!最近、駅の時刻表も文字が小さくて見えにくい
というより見えないものが配られていて、誰のために印刷したのだろう?と首をかしげます。大きくて
見やすい字が増えるといいですね。まちづくりでもサインのデザインなどでこの体験が活かせますね」
生き方のデザイン研究所では、お互いの失敗談や残念な経験もシェアすることで、ともに笑ったり泣いたり…次のチャレンジのエネルギーにしています。