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裏表紙

▲肩に来て人懐かしや赤蜻蛉

「肩に来て人懐かしや赤蜻蛉 夏目漱石」


 干し柿が吊るされた縁側に、Tシャツにジーパン姿の少年が腰かけています。

 辺りにはとんぼが飛交い、その中の一匹が少年の肩に止まっています。

 少年は肩先のとんぼに目をやりながら、静かに微笑んでいます。

 肩に赤とんぼが止まった。まるで懐かしい人にでも会ったかのようにジッと翅(はね)を休めているよ――「会いに来たよ」とでも言いたげな赤とんぼ、誰の魂を乗せてきたのでしょうね。

 そういえば、お盆も近くなったある日、立ち寄った実家の門の扉を開けるや、体当たりしてきた蝉がいました。

 悪戯好きだった祖父が、にっと笑った気がしました。 

(裏表紙 イラストと文 職員A.O)


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