4 ちょっと一息~リレーコラム
失礼な神様
音訳ボランティア養成担当 大久保 彩
突然ですが皆さんは、生まれる前の記憶をお持ちですか?
前世や胎内記憶に関する話は世界中にあり、各国で研究も進められ、関連本もたくさ
ん出ています。
今年で10歳になる私の娘も、幼少期、不意に前世の話を始めることがありました。
あれは娘が3歳の時…
保育園に送る車の車窓から、高くそびえる高級マンションを見上げながら娘が突如話
し出しました。
「あのね、マル子(仮名)ね、生まれる前ね、あーんな大きいマンションに住んどった
んよ。」「へえ、そうなの?ずいぶん大きなお家だったんだね。」「うん。あれ、マル子の
お家にそっくり。でね、毎日毎日たーくさん買い物ばーっかししよったら神様が怒って
からね、『もう、毎日毎日買い物できんようにするっ!』っち言ってからね、マル子、生
まれたんよ。」
そうか、そうか…それで私のところに生まれたわけか…。
―って…なんだろう、このモヤモヤ~っとした屈辱感。
前世で贅沢三昧していた娘は、それがかなわぬお家の子になったわけで。
ちょっと失礼じゃないかなあ、神様―とツッコミつつも、妙に腑に落ちた娘の前世の
お話。「親を選んで生まれてきた」なんて話も聞きますが、選ぶ余地なく飛ばされた模様
の娘も、現世の生活にすっかり馴染み、つましく暮らしておりますよ、神様。