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LENCONのはじめの一歩

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LENCONのはじめの一歩

「先生、気分が悪いです。」 永松 玲子(ながまつ れいこ)

 

※サリドマイドの薬害のため、両肩から数本の指が少し出ていて、左目は失明、右目も眼球振動があり弱視(近づけば人がいるか識別できる)

 

 徳島県のひのみね学園に入園した翌日、学園の職員から教室に案内され、しばらく授業を受けていると、「玲子ちゃん、訓練の時間だから先生と一緒に訓練室に行こう」と呼ばれ、なんとなく薄暗い廊下を通り訓練室に向かいました。

 ひのみね学園は築何十年だったか分かりませんが、私の記憶では、1階建ての横長い建物に教室や訓練室、上級生の部屋があり、幼稚園児や当時の私のような下級生の部屋はすぐ隣のきれいな建物の中にありました。そのため、教室から訓練室に行く時は、なんとなく薄暗い廊下を通ったのです。

 訓練室に入ると、北九州市立足立学園の訓練室にあったような歩行器(ほこうき)、また手すりのついた上り下りの階段やスロープがあり、「あ、足立学園と同じだ」と思いました。

 訓練室をしみじみ見ていると、「さあ玲子ちゃん、このマットのような大きな椅子に座って」と真ん中の椅子に座らせられ、両肩にいきなり重たい袋をズシンと乗せられ、両肩を上げ下げするように言われました。私は訳が分からないままその動作をしていると、また両肩に重たい袋が重ねられ、同じ動作をするように言われました。

 重たい袋が両肩に乗ったままの上げ下げ訓練をどれくらいしたのか分かりませんが、気分が悪くなりながらも我慢して訓練を続けていました。

 でもそのうち我慢が出来なくなり、「先生、気分が悪いです」と言いながらマットのような大きな椅子の上に倒れていて、気が付いた時は訓練の先生と担任の先生が私の顔を見ていました。

 私が体を起こすと、「よかった。軽い貧血をおこしたみたいね。玲子ちゃん、これからは我慢(がまん)をせずに気分が悪くなり始めたらすぐに言ってね。重たい袋はすぐ下ろすから」と言ってくれました。

 私は訓練の時間にどうしてあんなに重たい袋を両肩に乗せないといけないのか聞いてみました。すると先生達から、「電動(でんどう)技手(ぎしゅ)をはめるための練習よ」と言われ納得しましたが、正直つらいなぁと思いました。

 でも、自転車に乗れるようになるかもしれない。そう思うと頑張れる気がしました。

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