母親の腎臓を移植(いしょく)
出産後は一旦(いったん)透析から離れたものの、腎機能が悪くなり本格的な透析が始まりました。腎機能障害の障害者手帳を取得する一方で、もう一人子どもが欲しいという欲も出てきました。病院の先生にそのことを相談すると、「腎臓移植をした方がいいよ」と言われました。
腎臓移植手術を受けたのは平成4年2月25日。今年で31年経ちました。ドナーは母親です。手術室に入る時、横のベッドにいる母の姿を見た時は、申し訳なさと感謝で、なんとも言えない気持ちになりました。無事に手術が終わり、透析中は全く出なくなっていた尿が出た時は、母も一緒になって喜んでくれました。移植後に口にしたお水、おもゆはとっても美味(おい)しかったです。移植をして本当の味を知りました。
移植から9年目に、女の子を授かりました。妊娠が分かった時はみんな心配して、中学2年生になっていた上の子も「お母さん、そんな大変なこと2回もしなくていい!」って…。でも、行事で学校に行った時に、女の子たちが寄ってきて「おばちゃん、赤ちゃんおるんやねー!」って言いながらお腹をさすってくれたのを長男が見て、表情が和(やわ)らいだのが分かりました。
担当医からは、「移植後の免疫(めんえき)抑制剤(よくせいざい)などのリスクがあります」と言われましたが、主人と「どんな子でも二人で協力しあって育てます」と伝えました。
長男の時とは違って、今度は産科できちんと準備して、体制を整えて出産に臨(のぞ)むことができました。
生まれた妹を、お兄ちゃんはすごく可愛がってくれました。36歳と22歳になった今も仲が良く、北九州マラソンに二人で出場して無事に完走しました。とっても嬉しそうでしたよ。