点字図書館を利用される皆さんがつなぐコーナーです。前号のマチネの洋子さんから、小山梓さんへバトンが渡されました。多くのデイジー図書を読まれている小山さんに、お薦めの本についてお話を伺いました。
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―今回紹介して頂く本は、2冊あります。1冊目は、遠藤周作著『沈黙』です。島原の乱が鎮圧されて間もないころ、キリシタン禁制の厳しい日本に潜入したポルトガル人神父のお話です。
小山さんは、『沈黙』のどんなところが心に残りましたか?
長崎の貧しい農村の人たちが、命をかけて信仰を守るような強さがあるということ。拷問に耐える強さはどこからくるかというと、やはり貧しさの中にも、救いがあったからなんですよね。また神父は、最初から日本で迫害を受けているとわかっているのに密かに来るという、その使命感にも感心しました。
その中で農民たちが様々な迫害を受け、苦しんでいるのに神様は何もしてくれないという「神の沈黙」。人間にとっての永遠の課題だと思います。明るい話ではないけれど、じーんときて時々読みたくなる本です。
―私もこの本を読みましたが、苦しい場面も多いけど、先が気になるので読むことはやめられない。久しぶりに、そんな体験をしました。
2冊目のお薦めの本は、ニコラス・スパークス著『メッセージインアボトル』です。この本は、どのような本かご紹介いただけますか?
ニコラス・スパークスさんの本は初めて読んだのですが、すごくメロドラマなんですよね。海岸で拾った瓶の中に手紙が入っていて、それを読んだ女性が、手紙の文章にすごく感激するところからドラマが始まります。
この本をお薦めしたい理由は、文章がとても綺麗だということ。物語の中には、ラブレターというと少し簡単すぎるような・・・。恋文という言葉の方が似合う、綺麗な手紙が出てきます。女性であれば、一度は受け取ってみたいと思うような手紙です。また、本当にこんな男の人はいるのかなと思うくらい純粋で、女性への一途な愛を示す物語の中の男性は、永遠の女性の憧れだと思います。ぜひ、読んでみてほしいです。
―素敵な本の紹介ありがとうございます。物語の中の男性はとても魅力的で、私にもあんな方がいたら・・・と、つい思ってしまいました(笑)
小山さんは、たくさんの本を読まれていますが、これから読んでみたい本はありますか?
純文学ではなく、広い意味でみんなが知っている、ベストセラーになった本は、絶対読んでみたいです。ベストセラーになった本や直木賞など賞をとった本は、やっぱり読むと面白いです。アメリカで今売れている本なども、読んでみたいですね。
―それでは、最後に小山さんにとって、読書とはどんなものでしょうか。
生きがいです。目がみえなくなってから、何にも楽しみがなかったんですよ。でも、点字図書館で本を借りるようになって、躍りあがるくらい喜びました。最初は今まで読んだものを頼んでいたけど、知らない人の本もいっぱい読んで、すごく視野が広くなったこと、感謝しています。今まで読んでなかった本で、とっても良いものがあるというのを知って嬉しいです。
また今回紹介した2冊以外にも、シャーロット・ブロンテ著『ジェーン・エア』、チョン・ウングォル著『太陽を抱く月』、そして、シドニィ・シェルダンの著書は、全作品お薦めです。ぜひ、読んでみてください。
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小山さんが紹介してくださった「メッセージインアボトル」は、インタビューさせて頂く数日前にたまたま借りられた本だったそうです。そして、その本がとても素晴らしかったので、急遽紹介する本を変更されたとのことでした。自分の心に残る1冊に出会うのは突然で、それが次に出会う本かもしれない。そう思うと、読書をするのが私自身今まで以上に楽しみになりました。
素敵なエピソードと共に、興味深い本をたくさん紹介して頂き、小山さんありがとうございました!
(担当:田代)