“きずな”で繋がって
情報提供事業担当 室元 武史
ここ数年、体力の衰えを感じだした私は何か運動しなければと焦り、ランニングを始めました。
ある時、障害のある人とない人合同のランニンググループの方から、市内の駅伝大会での、視覚障害のある方の伴走を頼まれました。あまり深く考えず引き受けることにした私は、次第に、どうやって一緒に走るのか、ケガをさせたらどうしようと不安が強くなりました。
本番前の練習で当事者の方に伴走しました。当事者と伴走者は“きずな”と呼ばれるロープを握り一緒に走ります。腕の振り方や歩幅、スピードなどを相手のペースにあわせます。一番気を付けることは、安全の確保と周囲の状況説明です。練習は、夜中行ったのですが、走りなれている当事者の方は、すごいスピードで走り、ついていくのが必死で、度肝をぬかれました。
駅伝大会は、障害の有無に関係なく参加でき、仮装もありのとてもにぎやかなものです。大会当日、多くのランナーと観客がいる中、伴走しました。コースは平坦で、ある程度の舗装がなされていますが、微妙な傾斜や、舗装不良の個所など細かいところに気づかされました。ペアになった当事者の方に状況説明をしながら、“きずな”を握りしめコースを駆け抜けていきました。走りながら感じたことは、不安よりも「楽しい!」「気持ちいい!」でした。途中から「サポートをする」というより、「一緒に楽しむ」という感覚になっていたのではないかと思います。状況説明の不足など、サポート面では至らないところがありましたが、視覚障害のあるランナー、伴奏者、応援者の皆が、笑顔、笑顔で、このような繋がり方も素敵だなと感じました。
昨年はコロナ禍で駅伝大会は中止になり、代わりに息子の小学校のマラソン大会に向け、練習で息子に伴走しました。息子とは、目に見えない“きずな”が更に深まった気がします。