今年度の、主な文学賞を受賞した作品のいくつかを、サピエ図書館での着手・完成状況と併せてご紹介します。
●本屋大賞ノンフィクション本大賞
「目の見えない白鳥さんとアートを見にいく」 川内 有緒 著
〈内容〉「白鳥さんと作品を見るとほんとに楽しいよ!」
友人の一言で「全盲の美術鑑賞者」とアートを巡るというユニークな旅が始まった。視覚や記憶の不思議、アートの意味、生きること、障害を持つこと、一緒にいること。そこに白鳥さんの人生、美術鑑賞をする理由などが織り込まれ、壮大で温かい人間の物語が紡がれていく。(点字・デイジー・テキスト 完成あり)
●谷崎潤一郎賞
「ミトンとふびん」 吉本 ばなな 著
〈内容〉癒えることのない喪失を抱えて、人々は生きていく。めぐりゆく出会いと、ちいさな光に照らされた人生のよろこびを描いた全6編の短編集。(デイジー 完成あり、点字 着手あり)
●中央公論文芸賞
「底惚れ」 青山 文平 著
〈内容〉男は、密かに想いを寄せていたお手つき女中・芳の宿下がりに同行。芳は男を刺し、姿を消した。一命をとりとめた男は、人を殺めていないことを芳に伝えるため、岡場所の顔に成り上がり…。『読楽』掲載を加筆修正し単行本化。(点字・デイジー 完成あり)
●野間文芸賞
「ヒカリ文集」 松浦 理英子 著
〈内容〉学生劇団で男とも女とも恋を重ねたヒカリは何者だったのか-。6人の男女が優しくて悲しくて、とてつもなく魅力的な“偽物の恋人”を語る新・恋愛小説。『群像』掲載を書籍化。(点字・デイジー 完成あり)
●野間文芸新人賞
「ほんのこども」 町屋 良平 著
〈内容〉元同級生あべくんからのメールをもとに、作家はあべくんの人生を小説にしようとする。両親が殺し殺されていたあべくんは、やさしく他の人体を壊す。やがてふたりの境界は曖昧になり…。『群像』掲載連作を大幅に加筆・改稿。(点字・デイジー 完成あり)
●このミステリーがすごい! 2023年版国内編1位
「爆弾」 呉 勝浩 著
〈内容〉都民1400万人を人質にとる無差別爆破テロ。爆弾の在り処の手がかりは、容疑者と思しき中年男が出す“クイズ”のみ。狭小な取調室の中で、正体不明の容疑者と警察の戦いが始まる。『小説現代』掲載を単行本化。(点字・デイジー 完成あり)
●このミステリーがすごい! 2023年版海外編1位
「われら闇より天を見る」 クリス・ウィタカー 著
〈内容〉自称「無法者」の少女ダッチェスと、過去に囚われた警察署長ウォーク。彼女たちの町では30年前、ひとりの少女が命を落とす事件が起きた。事件で逮捕された男が刑期を終えて町に帰ってくると、新たな悲劇が…。(点字・デイジー 着手あり)